Kiss me, Love me!
「あぁ、そういえば」
と松野先生が思い出したように口を開いた。
「どうしたんですか?」
わたしは半分眠りかけていたけど、なんとなく先生の声が弾んでいるように聞こえたので、目を開けて顔だけ先生の方を向いて、そう言った。
「呉羽さん、ここに運ばれた時のこと覚えてる?」
「いえ……体育館で倒れたところまでしか覚えてないです……」
「でしょうね、ここに来た時、ぐったりしてたから……。
でもあなたが運ばれてきた時、本当びっくりしたわ」
そこで先生はくすっと笑う。
「はい?」
わたしは怪訝そうな表情を浮かべたと思う。
先生はまた笑って、「だってね」と続けた。
「……お姫様抱っこされてるんだもの、白河くんに」