Kiss me, Love me!
沈黙。
わたしは何も言えず、口をポカンと開けてしまった。
「………………は?」
お姫様抱っこ? 何ソレ、わたしがされたの?
ていうか白河? 拓真だよね?
は? ちょ、待って――――
思考回路がショートしそうになった時、コンコンと保健室の扉をノックする音が聞こえた。
「失礼しまーす。市川(イチカワ)です。響歌の様子を見に来ましたー」
美希がガラッと扉を開け、保健室の中に入ってくる。
「あら、今休憩時間?」
「はーい、さっき体育館から皆帰ってきたところです。6時間目の前に響歌の様子見に行けって言われたので」
「誰に?」
わたしが思わず口をはさむと、美希と先生がにっこりと微笑んで「内緒」と言った。
何なのよ、一体。
「じゃあ、私は一度職員室に行ってくるから、市川さん、呉羽さんについててくれる?」
「わかりましたー」
先生は美希にそう言って、保健室を出て行った。