=キング of ビースト= 2
発作
「出せ。」
と夜琉が芯さんに言う。芯さんはミラーごしに夜琉を見ると
「由莉さんのご両親に挨拶されたのですか?」
と、車を出しながら聞いた。
「…。」
夜琉は何も答えなかったが、芯さんには分かったようで芯さんは頬を緩めていた。
「芯さん、どこに行ってるんですか?」
「倉庫ですよ。」
「そうですか。」
「由莉さんのご両親綺麗な方ですね。」
「そうですか?普通だと思うんですけどね。」
「由莉さんにそっくりです。」
「…ありがとうございます。」
内心ちょっと嬉しかった。
そっくりと言われて。
私にとって、お母さんとお父さんは自慢できる存在で、私の憧れだから。
嬉しいと感じた。
でもこの時芯さんが何かを言いかけたのに気づかなかった私は、後から芯さんとお父さんが知り合いだったことを知ることになる。