=キング of ビースト= 2
「由莉ちゃんなりの自己防衛反応ね…。」
「…。」
「…由莉ちゃんの本能がこれ以上その事に触れて欲しくなかったのよ。
きっと、本能的に自分を守ろうとした。
これ以上傷つかない為に…。」
広未は目を伏せながら続けた。
「…冬眠に入ると、」
「あ?」
「動物は、意識のない状態になるの。」
「…。」
「冬眠しているときの動物の呼吸も普段よりは浅くなるし…
おまけに体温も低くするの-…。」
目を伏せていた広未は、まっすぐに夜琉を見る。
「あくまでも私の仮説よ…
―――由莉ちゃんは深い眠りにつこうとしてるじゃない…?」
2人の間を流れる時間が止まった気がした。