甘味処[斬殺]
似た理由で祐樹はサリーが好きだった。
一年ほど前、祐樹の無意識はまだ知り合う前のサリーを襲っている。手刀が確かに彼の首筋を捉え、肉を裂いた感触を祐樹は覚えていた。
その時祐樹の無意識が去って、祐樹が「あ、またやったな」と思った時に、サリーはまだ生きていた。それまで相手を生かしていた事などなかったのに、と祐樹は不思議がったが…それ以上気にかけず、被害者であり目撃者でもあるサリーを絶命させようと、仕方なく意識的に手刀を振るった。
再び近い箇所が裂けて血が吹き出した。…それでもサリーは生きていたのだ。
もちろん普通ならば一撃目で絶命しているところだが、当時からサリーには格闘技の心得があった。空手二段だか合気道だか何だからしいが、祐樹はよく覚えていない。ともかく、そんなサリーは殺人鬼である祐樹の手刀に襲われてすら、可能な最低限の傷だけで済ませた。回避してみせたのだ。
その時は流石のサリーも危機を感じて逃げ去ろうとしたが、祐樹はそれを許さなかった。サリーを自分同様「不死身」と認識した祐樹が仲間との邂逅に歓喜して飛びついた時、サリーは「まずいやられる」と思った。
祐樹とサリーは、それ以来の付き合いだ。
サリーは現在、人生の目的として「祐樹を殺すこと」を掲げている。それは別に、一般人の犠牲を懸念して、ではない。
喧嘩でも試合でも無敗を誇っていたサリーは、自分よりも小柄な殺人鬼に初めて負けた。その経験は彼のプライドをいたく傷つけ、物理的にも首に傷をつけた。結果、祐樹に対する復讐心が心に大きく根を張り…は、しなかった。
確かにプライドは傷ついた。だがサリーには、不思議と復讐心や怨恨の念は湧いていなかった。
その話はひとまず、後に回すとしよう。
一年ほど前、祐樹の無意識はまだ知り合う前のサリーを襲っている。手刀が確かに彼の首筋を捉え、肉を裂いた感触を祐樹は覚えていた。
その時祐樹の無意識が去って、祐樹が「あ、またやったな」と思った時に、サリーはまだ生きていた。それまで相手を生かしていた事などなかったのに、と祐樹は不思議がったが…それ以上気にかけず、被害者であり目撃者でもあるサリーを絶命させようと、仕方なく意識的に手刀を振るった。
再び近い箇所が裂けて血が吹き出した。…それでもサリーは生きていたのだ。
もちろん普通ならば一撃目で絶命しているところだが、当時からサリーには格闘技の心得があった。空手二段だか合気道だか何だからしいが、祐樹はよく覚えていない。ともかく、そんなサリーは殺人鬼である祐樹の手刀に襲われてすら、可能な最低限の傷だけで済ませた。回避してみせたのだ。
その時は流石のサリーも危機を感じて逃げ去ろうとしたが、祐樹はそれを許さなかった。サリーを自分同様「不死身」と認識した祐樹が仲間との邂逅に歓喜して飛びついた時、サリーは「まずいやられる」と思った。
祐樹とサリーは、それ以来の付き合いだ。
サリーは現在、人生の目的として「祐樹を殺すこと」を掲げている。それは別に、一般人の犠牲を懸念して、ではない。
喧嘩でも試合でも無敗を誇っていたサリーは、自分よりも小柄な殺人鬼に初めて負けた。その経験は彼のプライドをいたく傷つけ、物理的にも首に傷をつけた。結果、祐樹に対する復讐心が心に大きく根を張り…は、しなかった。
確かにプライドは傷ついた。だがサリーには、不思議と復讐心や怨恨の念は湧いていなかった。
その話はひとまず、後に回すとしよう。