甘味処[斬殺]
ちなみに殺人を糧とする祐樹だが、普通の食事もする。理由は不明瞭だが、祐樹に言わせれば「人を殺してもお腹はいっぱいにならない」だそうだ。
しかし人は殺す。祐樹にとって殺人は食事等とは別に無くてはならない事であり、人間にとっての呼吸や睡眠と同じように、「気付いた時にはその最中だった」という類のものなのだ。
殺すことをやめれば、祐樹は殺人行為に飢えて死ぬかもしれない。祐樹もサリーもそう考えたことは幾度となくある。
…だが、誰も止めることはできないのだ。祐樹本人も含めて。
(…あれ?)
今もそうだった。気付いた時には本屋の外にいて、人混みの中の一人を殺し終わっていた。
すれ違いざま、いつものように指先で頸動脈を断ち切ったのだろう。背後で赤い気配がして、すぐに悲鳴が幾つか上がって、「救急車」とか「警察」とか叫ぶのが聞こえた。
祐樹は寂しそうな顔で溜め息をひとつついて、その場を立ち去った。
しかし人は殺す。祐樹にとって殺人は食事等とは別に無くてはならない事であり、人間にとっての呼吸や睡眠と同じように、「気付いた時にはその最中だった」という類のものなのだ。
殺すことをやめれば、祐樹は殺人行為に飢えて死ぬかもしれない。祐樹もサリーもそう考えたことは幾度となくある。
…だが、誰も止めることはできないのだ。祐樹本人も含めて。
(…あれ?)
今もそうだった。気付いた時には本屋の外にいて、人混みの中の一人を殺し終わっていた。
すれ違いざま、いつものように指先で頸動脈を断ち切ったのだろう。背後で赤い気配がして、すぐに悲鳴が幾つか上がって、「救急車」とか「警察」とか叫ぶのが聞こえた。
祐樹は寂しそうな顔で溜め息をひとつついて、その場を立ち去った。