キミの隣へ
少し不機嫌そうな声が出てしまった。
『あの……小林ですけど……』
小林?
誰?
全国の小林さんの中の誰ですかあなたは?
「小林さん? どちらの?」
『あっ!優歌ちゃん?ゴメン俊也。小林俊也(コバヤシトシヤ)……っとさぁ千祥いる?』
へぇ、
俊也くんって名字小林だったんだ。
―――知らなかった。
そんなこと思ってる場合じゃない!
どーすんの!?
「えっとぉ…いるけど~……スッゴく怒ってる」
電話の向こうで俊也くんの深いため息が聞こえた。