レイコーン


その頃、ニコスは目をつぶり静かに冥想していた。
 
「あのでっけぇの、すげえ力だぞ!」

「ウチの隊に欲しいな。」

「おい、あいつ火、吹いたぞ?」

「ワァァァ~」


いろんな声が入り混じる。
とくん・・・。とくん・・・。
鼓動が高鳴る。


「次!ボビン!」


ターバンで顔隠しをした案内係は
全身を白の布地で覆われていて、声がこもっていた。

「は、はい!」

時期、ニコスにも順番が回ってくる。
あと1人。あと、ひとり。
 

「ワァァァ~」

 

高鳴る歓声。
飛びかう批評。


「ふ~~~。」
 

ニコスは深く大きく息をはき、目を開けた。
 

「最後!」


「・・・はい。」

 
腰にした鞘を取り
闘技場の真ん中の石段の前へと彼は移動した。
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