レイコーン
マールはボビンの炎を吐く様子を見て
 
「うわぁ…ここにいる人はみんな魔術を使えるんだ!!」
  
そう思いながら空に浮かぶ水球の映像を眺めていた。
 
 
「リリー。頭から、火の玉が出たり、鎧が光ったりすごいね!」
 

「あぁ、あれね。彼ら特有の技なんだよ」


「はぁ。」

 
「それにしても彼、すごく運が良かったな。クロガネルさんが試合を見てくれるなんて。だってあれは最高の稽古だよ。彼はらね。多分、近くの訓練学校の卒業生だと思うね。だって・・・。」
 
「あ、あの・・・」

マールは、もう話が半分聞こえない。
 

「何せクロガネルさんって最高の剣士だから・・・」
 

話はまだまだ続く。
はぁ、と心の中で溜息をしマースは視線を兵隊さんの後ろの背景を見つめた。

「あ、ほら、君の友達の試験が始まるよ!いや、楽しみだな~。」

はぁ。やっと終わった。


「・・・ん?」

彼が目に付いたのはちょうどマールの反対側にいる
どう見ても、雰囲気の違う黒いフードをかぶった男だ。

会場のあちこちに建っている大きな石柱の影にいた。
手には黒ものを持っているように見えるが、よく見えない。

「この競技場っていろんな人が自由には入れるんですか?」

「いや、そんなことはないと思うよ。今日は一般開放してないはずだからここにいるのは城の兵士と王だけのはずさ。」
 
「あの城の影にいる人も、兵士ですか?とてもそんな感じには・・・?」

マールの指差す方向をみた
衛兵の顔が曇り、ぼそりと小さな声が聞こえた。

「・・・賢者アグマ?」

「え?」
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