レイコーン
マールは一瞬ドキッとした。
その瞬間、黒いフードの男は
手に持っている黒い本を見開き呪文を唱え始めた。
「恨みし時よ。姿を現せ。」
すると、彼の隣には平たく渦巻く黒い球体が現れた。
その中からは真っ黒なゴムのようなものが飛び出す。
「ごめんね、仕事が入ったみたい。あいつ捕まえてくるからさ!」
そう言って衛兵はマールのそばを離れた。
「あ、待って。」
「グォォォオォォォ」
低く、世界の位相がずれるような低い声が響く。
まるで何人もの人が一緒に嘆いているような音。
その響きは会場にいた全員の視線を集中させた。
黒い球体は大きなうごめき声をあげると姿を真っ黒な朽ち果てたドラゴンへと姿を変え始めた。
「さぁ、目覚めよ。とこ闇へと眠らされた我が友、スカルドラゴンよ!!」
その様子を見ていた、クロガネルがドラゴンをにらみつけた。
「ヤツめ、命を終えたドラゴンに闇の魔術を与えたか。」
ドラゴンは真っ黒な骨だけの姿となりまがまがしさを出している。
体長は10mを超すだろう、曲がった背からはとげが生えていてどんな盾でも貫けそうだ。
「皆の者、王を守れ!」
大きな声で近くにいた兵士長達に指示を出すクロガネル。
「な、なんだ?あれ?」
クロガネルのそばにいたニコスは骨の姿で動くドラゴンの様子にひるんだ。