レイコーン
 
 
「行け。」
 
 
黒フードの男は王の方を指差しスカルドラゴンを向かわせる。
近くにいた兵士たちがドラゴンに立ち向かおうとすると、長い尾でなぎ払われた。
 
 
 
「お前たちは下がれ!」
 
 
 
クロガネルの大きな声が響きわたった。


その瞬間、スカルドラゴンが空を向き口から何かを吐きだした。
 

「グォォォオォォォ・・・」
 
 

雷雨のようなドラゴンの叫びが響き渡ると同時に
空から無数の牙が降り注ぐ。
 
その先端は鋭く、兵士の鎧を簡単に貫いていた。

 

うわっ。ぐわっ。

 

あちこちで兵士たちがやられだした。
骨が刺さった兵士たちはその場で倒れ動けそうにもない。

 
しかし、観客席にいた兵士やマールにまでは届かなかった。


「骨だけのドラゴン…。」
 
 
周囲に飛び交う牙を見てマールの足は止まった。
  
 
翼を開きアリーナの方へと飛び立つスカルドラゴン。
ズーーーン。と会場に降り立ったドラゴンの振動が響きわたり
あたりを揺らした。
近くには何人も今の一撃で倒れた者たちがいる。
 
「…大変だ、助けなきゃ!!」

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