レイコーン
「おのれぇ。」
王のそばへと向かう
ドラゴンにたったひとりクロガネルが挑む。
「よすのじゃ!セバス!」
叫ぶ王。
クロガネルの怒りは頂点に達し王の言葉は届かない。
「だれか、誰か、援護を!」
剣を抜き助走をつけた跳躍でクロガネルは間合いを詰めると
キィィィンと、何かを切った音が聞こえた。
一瞬のことに何が何だか分からず、無我夢中に走っていたマールは
気がつくと黒い本を手にした、黒フードの男のそばにいた。
会場を半周したために息が切れていて呼吸が整わない。
男の周りには何人もの兵士が倒れている。
「うぅうぅぅぅ。」
マールが駆け寄るとかすかに声が聞こえた。
さっきの衛兵もいる。
まだ息があるようだ。
「お前!なんでこんなことするんだ。」
そんな言葉が彼の口から飛び出す。
恐怖とかそんなものはない。
むしろこんなことをしていた自分の行動に驚いた。
すると、黒フードの男は暗く低い声で笑い、話し始めた。
「…レイコーン…。」