レイコーン
「そりゃ、ジーニーに近くまで送ってもらうつもりだったんだけど。」
「ジーニー?ジーニーってあのやたらと丁寧に話すバスのことかい?そんなことに巻き込んで平気なの?」
「う~ん?頼んでみないと分からないけど、たぶん協力してくれるよ。ダメだったらさ。ガイドブック頼りの徒歩だね。」
こうして2人は人のにぎわう街の入り口の方へと向かった。
バス停に着いたニコスは、簡単にジーニーに状況を説明した。
「本当に、行くんですか?」
「そうだよ。近くまででいいからさ。」
ジーニーは、困った顔をしている。
「ですが、あの辺は普段からサンドストームが・・・。」
「ジーニーさん?ごめんね。こんなことを頼んで。でも、いいんだよ?嫌だったら。」
すると、彼は深いため息をついて答えた。
「どうせ、行かれるのでしょう?全く、あなたって人は『マスターのお皿を割ったからお前が屋敷に突っ込んでお皿が割れたことにしておいてくれ』だの、『旅のお供に』だの、『試験やだから逃げるの手伝え』だの、『マールを迎えに行くために別世界へ飛べ』だの、私に無茶なお願いばかりをなさる。私もマスターに叱られるのですよ?」
するとマールはニコスの方を見て小声で、そうなの?と聞いた。
「いいじゃないか。昔の話さ。」
迎えや、旅のお供は最近なんだけどな?と、マールは思ったが口には出さなかった。その瞬間ジーニーの扉が開いた。
「忘れ物は、ないですか?では、出発いたしましょう。」
「いいの?」
マールは、ジーニーの顔をしげしげと見つめながら聞いた。
「えぇ。」
それから、半分あきらめたかのように目を細めながらニコスに言った。
「ニコス様?私が送らなくてもご自分の足で行かれるおつもりだったのでしょう?」
「鳥嫌いなニコス様が鳥の近くへ行こうとおっしゃるのですから。私は協力いたしますよ。」
「そうなの?猫はみんな小鳥が好きなんだと思ってたよ。」
と、マール。
「ジーニー。頼むよ。神鳥の巣まで!」
マールはジーニーにありがとうと言い乗り込んだ。