レイコーン

リリーが飛んでいるのがマールの目に飛び込んできた。
　
　
「待てよ…。一度命を落としたドラゴンか。」
　
　
そう言うと、マールは立ちあがった。
車の走る衝撃で立っているのがやっとだったが
うまくバランスをとりながらマールは窓を開け後方から追いかけてくるスカルドラゴンの方を向いた。
　
風が轟々とマールの耳元に鳴る。
　

　
「リリー頼むよ。アイツを目覚めさせる魔術！」
　
「グォォォォォン。」
　　
聞いたこともない叫び声がマールの背筋にまで走る。
牙と牙のこすれあう音が聞こえてくる。
骨どうしがきしみあうその音がさらにドラゴンの姿を恐ろしくさせていた。
手が震えている。
　　
　
「リリー！！」
　
　
リリーはマールの腕の周囲を飛び回ると
光る粉を振りかけた。それは妖精の粉と呼ばれる魔術の元。
　
マールが人差し指を立てると指先に光が集まっていった。
スカルドラゴンを指さし大声で呪文を唱えた。
　
　
「永遠のに眠りにつきドラゴンよ。今こそ目覚めよ！『目覚めの歌リベル！！』」
　
　
すると、マールの指に集まっていたで小さな光がドラゴンに向かって走り出した。
光の弾がドラゴンに接触する。
その瞬間光の弾はドラゴンの頭くらいの大きさの光輝く鐘に姿を変えた。
　

カラーン、カラーン
　
　
鳴り響く鐘の音。
　
　
　
「グォォォォン。」
　
　
　
スカルドラゴンの様子は変わらない。
　
　
「・・・？」
　
　
マールが失敗したと思った瞬間、
バキッっと、大きな音を立て、スカルドラゴンがよろよろとスピードを落としたかと思うとそのまま倒れこんだ。
　
　
「グゥゥゥ」