レイコーン
マールは足を速めた。
足を早く動かすが背中はひんやりしていて気持ちが悪い。
だがおかしい。
歩いても歩いても、走っても走っても
バスが入ってきた道にたどり着かない。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」
それどころか壁がマールを引き止めるように
ドンドン前の道が狭くなっている。
明らかに道幅は人1人分の細さになろうとしていた。
「ここは通りだったはずなのに?どうして壁に囲まれているんだ?」
首を振り、路地の左右上下を眺めた。
マールの目の前にある壁には
頭よりも少し高い場所に
ボードのようなものが貼ってあり一直線に並んでいた。
「何か書いてあるぞ?え・・・っと・・・・?」
『メビウス3.14159265358979323846264338………
通り入り口』
「これってもしかして…看板?」
看板に書かれている数字はマールがやってきた元の道の方向に永遠と続いている。
いつの間にかマールは入り口のない噂の通りに入っていたようだ。