レイコーン


光の中を歩いていると



ヴォォォォ・・・

ヴォォォォ・・・ン

 

と、屋敷で目覚めた時に聞こえた音がする。
うめき声?誰かの叫び?それとも、機械音?
聞こえなかったのが不思議なくらいの大きな轟音。
腹がびりびり振動している。

 

光の中はまぶしすぎて目を開けられなく
眉間が痛い。

 

コツ、コツ、コツ、
前を歩む灰色のローブをまとった老人の足音は
かろうじて聞こえる。

 

コツ。
足音が止んだ。

 

その瞬間、急に音が消えた。
真っ白な空間が色を生み出し景色を形成する。
それと同時に生まれる疑問。

 

「あれ?」


左右を見渡すマール。どこをどう見てもそこは


「廊下だ。」
 

少しずつ、少しずつ失われる光。
目の前にある、大きな窓はまるで明かりを手放すのを惜しむように
最後の最後までまで光を抱えていた。
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