レイコーン


見る見る間に部屋の家具やカーテン、ベット、枕が飛ばされてゆき、
カードの中に吸い込まれてゆく。

 
あまりの急な事に、マールはあわてて腕を構えた。

 

「うゎ・・・」

 

風が止んだとき、部屋はがらんとしていて
部屋の隅にある大きな窓から太陽の光が差し込んでいる。
ニコスの手にはマールの部屋そっくりの写真が握られていた。
 
 
マールは憧れにも尊敬にも似た目でニコスを見ながら聞いた。

 

「すごいな!ニコス!それ、魔法?」
 
 
 
「ん?」

 

ニコスはカードをポケットの中にしまいながら答えた。

 
 
「そうさ!このカード、マスターが作ってくれた世界に一組しかない魔法の写真なんだぜ?」

 
いつになく感激が混じった声でマールは問う。
 
 
「それってなんでも現実にすることができるの?」
 
 
マールは
ニコスのカードの性能に興味津々だ。
 
 
「実はね、万能ってわけじゃないんだ。いろんな道具が収納できるようになっているんだけど、自分で描いた絵柄しか出し入れできないんだ。」
 
 
「へ~?じゃあその絵は自分で描いたんだ?。まめなんだね。それ、僕にも使えるのかい?」

 

すると、ニコスは頭を掻きながら目を細め、申し訳なさそうに答えた。

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