レイコーン
マールが天井を見上げると、
天井には美術館に置かれているような
神秘的な絵が飾られていて
2つ顔がある少年が
強大な悪魔に槍を向けている姿が描かれている。

 
ご馳走に隠れてよく見えなかったが
一番奥の席には、ドクが座っていた。


「おはよう。マール君、ニコス」

 
長いひげをいじりながらドクは、
部屋に入ってきた2人に言った。
 

 

「マール、ここに座りなよ。」

ニコスはマールに入り口近くにある席を勧めた。
ドクの席からはずいぶん遠い。

マールが座ったのを確認すると、ニコスはマールの隣の隣の自分の椅子を引いた。
 
マールの席にはパンに、目玉焼き、
それにたくさんの色で飾られたフルーツの盛り合わせがある。
そんな彩られた朝食を前にマール目は沈んでいた。
 
「魔法のこと気にしてるのか?」
 
ニコスは、マールの顔を覗き込み心配そうだ。

「あ、うん。ありがとう。でも違うんだ。夢じゃないんだなって思ってさ。」
 
ニコスは首をかたげながらマールの隣の席に座った。
 
2人が席に着くと、用意されていた空の皿が消え
テーブルがガタガタと動き出す。
テーブルクロスごとシュるシュると音を立て、
長テーブルはちょうど、3人が食事するには十分な大きさへと変化した。
そんな大きな変化が目の前で起こったにもかかわらずマールの顔には変化がない。
 

「では、いただくとしようかの。マール君遠慮せずに食べなさい。」
 

「ありがとうございます。」
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