レイコーン
「ここは、メビウスの丘とは別の場所だからな。マスターの屋敷は変な奴らが来ないよういろんな場所を転々としている魔法の屋敷なのさ。」
「へ~?そうなんだ。」
マールは関心と共に、首をかしげた。
「ところで変なヤツって何?」
「あそこは、最新の研究所だったんだ。だから、その情報を盗みに来るヤツが後を絶たないのさ。マスターの魔法の眠りのツタだって研究成果のひとつだよ。今じゃ、番人の役目になっているけどね。」
「ふ~ん?」
マールは納得したような、納得してないようなそんな顔をしている。
「そういえば、マスターに何の魔法道具もらった?」
ニコスは少し大人びた様子でマールに聞いた。
「この何でも入るって道具袋一式と飴、それとさっきから僕の頭の上をウロウロしている蝶だよ。蝶は、図書館で借りた本開いたら出てきたんだけどね、ドク曰く『旅の役に立てなさい』だってさ。」
「図書館の本って…?マールが持っていた『ガルディアの歩き方』?」
「うん。これ開いてみたら、青い表紙しかないんだよ。」
「いいんだよ。中身はそこに飛んでるからさ!」
本の中身が飛んでいる?
すると、ニコスは蝶を指さしながら話し出した。
「この蝶はね情報蝶ユビキスって言うらしいんだ。」
「情報蝶?」
「うん。元は古代の人間が使っていた魔法蝶らしいよ。」