レイコーン

そう言うと、王はワインのボトルを取り出した。
ワインのボトルにはこの国の国旗と同じく青い鳥が描かれたシールが張られている。
 
 
「君はアルバータの名産品を知っているかね?」
 
 
と、王はマールに尋ねた。
名産品。その言葉で少しマールは考える。
気持ちが悪い。しばらく王には待ってもらい考えた。
そういえば、ニコスがこの街には特産品はないって言ってたっけ。
 
 
「…ないって聞いてますが?」
 
 
「確かに、ガイドブックに載せるものはないんじゃよ。」
 
 
ガイドブックに載せるもの?王はなんとも不思議なことを言う。
つまりガイドブックには載らない名産品があるってことだ。
 
 
「この国の名産品はこれじゃ。」 
 
 
王はさっきから手に持っていたワインを指して言った。
 
 
「…ワインですか?」
 
 
「正確にはこれに使われる『水』じゃがな。」
 
 
水?水が名産品?本当ならば聞きたいことは山ほどあるはずなのに、
『毒』を盛られた影響で頭の思考は止っていてどうでもいい。
吐きそうだ。
 
 
「では、マール君。これを飲みたまえ」
 
 
王がすすめたのはまたしても同じぶどうジュースだ。
 
「…あの、気持ちが悪くって。多分体にあわ…」
 
確かにマールの顔は真っ青だ。
気を使う余裕もなく足ががくがく振るえ倒れそうだ。
口から緑色の煙がわきでできそう。
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