レイコーン
 

「ぶどうジュースがまずくなるから水をね、なんとかして欲しいんだって。」
 

「ぶどうジュース?」

 
しばらく考えた後ニコスは答えた。

 
「あぁ、ブドウサボテンの汁ね。」


「ブドウサボテン?」


「サボテンの頭にブドウみたいな実がなる植物だよ。9割が水でできてるんだってさ。」


「…それもガイドブック?」


「ん。マールも一読しておきなよ。」

 

そんな会話をしている間に
マールの腕に抱いているタマゴが動き出した。

 

「そういえば、忘れてた!ニコス、これもう孵りそうなんだよ。」

 
「で、これ何のタマゴなの?」

 

「神鳥のタマゴだってさ。リリーの奴『大切に育てなさい』しか言わないんだもん。」

 

マールはタマゴを地面のやわらかそうな場所に置き
リリーを見ながら愚痴をこぼした。

 

「・・・鳥。」

 

ニコスはぶつぶつ言いながら卵を見つめた。
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