きっと世界は君のもの


もうやだ。
なんか涙でてきそう。

さっさとこの部屋から、この男の前から去ろう。
じゃないと、好きって言いそうでこわい。


『放してってば』

「むりっつってんじゃん」

『やだ。 放して』

ほら、もう涙で視界がぼやけるじゃん。
泣きたくないのに。
こいつが放してくれないから。


「あのさー、なに勘違いしてんの?」

『勘違いなんかしてないし』


「じゃあ最後までちゃんと俺の話きけよ」

なによ、逆ギレですか。
キレたいのはあたしの方だし。

『フラれる言葉なんか聞きたくない!』


そう叫べば彼はため息を零して、ぐいっと顔を近づけてきた。

「やっぱ勘違いしてんじゃん」

優しく涙を拭うその仕草に、不覚にもドキリとしてしまう。


「俺、別れるとか言ってないし」

『でも別れたいと思ってるくせに。 こんな猫に嫉妬してるような女、重くて嫌なんでしょ』


なんでこんなことをいちいち言わせるかな、この男は。
しかもコイツ・・・・

『なんで笑ってんの』


なんかほんとに、キレたいんだけど。
この雰囲気で笑うとか意味わかんない。

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