きっと世界は君のもの


( ごめん。 仕事入った )

 素っ気無いその文字を見ても、前より、悲しまなくなった気がする。


 久々のデート。
 なのにドタキャン。

 いつもと同じ、この冷めたメール。


「はい、今日のゲストは今人気№1俳優、一葵(イツキ)さんです!」


張り切っている司会と、黄色い声を叫び続ける客席。

高く顔を見上げれば、大きな液晶画面に映る、一人の男性。


『・・・・ばか』

 会うの、2ヶ月ぶりだったのに。


 むかしからずっと一緒に居たキミは、今はもう居ない。

 よく見せてくれた無邪気な笑顔も、今じゃどれが本物か、もう分からない。

 遠すぎて、あたしはもうどれが本当のキミか、分からないよ。


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