きっと世界は君のもの



「ずっと一緒にいた幼馴染みが、今や人気俳優、かぁ」

『幼馴染み、かつ彼氏、だからね。 ていうか、声大きいよ。 聞こえたらどうすんの』

「だいじょーぶ。 お昼休みはみんな喋ってて五月蝿いから」

大好きなお菓子を頬張る彼女だけ、あたしの秘密を知っている。

「彼女は普通の女子高生、彼氏は人気俳優。 大変だね、春陽」


 かっこよくて、優しくて、自慢の彼氏。
 でも彼は遠くに行き過ぎて、自慢も出来ないくらいの存在になった。

『人気が出てきたのは嬉しいよ。 でも、素直に喜べない』

 はじめは純粋に応援出来ていたのに。
 いつからだろう、素直に応援出来なくなったのは。


「そんなもんだよ、きっと」

『そうかなぁ』

 きっと、あたしがもっと大人だったら、頑張ってね、って純粋に言えるんだろうな。
 まだまだ子どもなあたしには、不安が大きすぎる。

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