きっと世界は君のもの


「ねぇ!知ってる!?」

突然、1人のクラスメイトが一冊の雑誌を手にやって来た。

『なにが?』


「人気俳優の一葵、っているでしょ?」

『あー、うん。 いるね』

「モデルの小森 綾(アヤ) と付き合ってるかも、ってこと!!」

『は?』


あまりにいきなりすぎたその言葉のダメージに、つい不機嫌な声を出してしまった。

「それ、誰が言ってたの」

「この雑誌の、この記事!」

バンッと勢いよく雑誌を置いては、とあるページの太字を指差す。


“人気俳優 一葵、モデル 小森綾と熱愛か”


は?熱愛?
どういうことよ。


「先週の土曜日にね、二人で会ってたみたいなの!」


先週の土曜日って、ドタキャンされた日なんだけど。
“仕事”ってかいてあったじゃん。

「馬鹿馬鹿しい。 そんなの本当かわかんないでしょ」

「そうかな~? でもほら、写真だってあるよ?」

そう言って見せられたのはカフェにいる二人の姿。


カラーの写真じゃないけど、帽子をかぶってて見えにくいけど、

でも確かにそこに写ってるのは一葵で、向かいに座っている女性はきっと、モデルの 綾とかいう人。


「たったこれだけの写真で“熱愛”とか、ほんと馬鹿馬鹿しい。 ただ面白そうな話題がほしいからオーバーに書いてあるだけでしょ。 仕事かもしれないじゃん」


「んー、そっかぁ。 ま、このモデルの人って、かなりの我が儘で欲しいものは無理やりにでも手に入れる、って人らしいから。 そんな人と一葵は付き合ってほしくないな~」

『・・・・』

なに、この記事。

“楽しそうに話す2人”?

は、そんなの本当かどうかわかんないくせに、書かないでよ。

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