きっと世界は君のもの



「おはよ、春陽。 誕生日デート、どうだった?」

朝からワイワイ賑わう教室で、唯一あたし達の関係をしっている親友の言葉に、あたしはどう答えようか迷った。


『よく、わかんない』


結局あのあと 何かを決意した彼は何も教えてくれず、そのまま家まで送ってもらった。
ずっと無言で、あたしはただ必死に彼の言葉を理解しようとしたけど 結局何も分からない。

「誕生日、おめでとう」 と最後にそう言って、軽くキスをされて 彼はそのまま行ってしまった。


たくさん泣いて、いえなかった本音が零れた 18歳の誕生日。


あたしを守ろうと思って 一人で抱え込んでいた彼に、あたしはなにも気付かなかった。

もっと大人だったら 気付けてたのかもしれない。
「遊ばれてる」 なんて思わなくてよかったのに。


18歳になっても あたしはちっとも「大人」に進めない。



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