きっと世界は君のもの
今日はなにをしても、ずっと上の空だった。
毎日彼に送ってたメールも 送る気になれない。
そして帰宅中の今も 親友の話し声を聞いてるだけで、なにも理解してない。
「もう、春陽 ちゃんと聞いてよー」
『あ、ごめ・・・・・? どうしたの?』
謝っていたそのとき、彼女が突然立ち止まる。
「一葵さん」
え? と思いながら 彼女の視線を辿って見上げれば、液晶画面の向こう側に居る彼。
きっと CMかなにかの記者会見の様子だ。
いろんな記者の人が質問してて、その質問は当然
「小森 綾さんとの熱愛報道は本当ですか?」
雑誌の記事のことばかり。
「関係のない質問はやめてください」 とスタッフが止めに入るのを、
「俺は今日 みなさんに伝えたいことがあります」
彼がそういって遮る。
「 小森 綾さんとの関係は、なにもありません」
そう言うと、記者の人たちはすぐに “密会していたのは何故ですか” と聞き返してくる。
「詳しくはお話出来ませんが、交際をしていないのは断言します。 そしてもう一つ伝えたいのは・・・」
『まさ、か・・・』
瞬時にして、イヤな予感が過ぎる。