きっと世界は君のもの



『どうして彰人は、執事なの』


そう呟いても、彼はただ 微笑むだけ。


正直、彼のことはあまり知らない。

彰人が執事をしようとしたきっかけも、
彼の家族も、


彼の歳すらも、知らない。


「儚様、具合が悪いのですか?」


『別に』


「ですが、辛そうな表情をされています」


それは、あなたのことを考えていたから。
でもそんなこと、言えない。


『彰人には、関係のないことよ』



こんな事をいうあたしは、本当に 可愛くない女。


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