きっと世界は君のもの
―コンコン、
花瓶を手にした彼は、中からの反応がない事に 首を傾げ、扉を開ける。
「儚さま、?」
ベッドに目をやれば、 スヤスヤと彼女は眠っている。
そんな彼女を見つめ、彼は少し頬笑み 花を花瓶に移し替えた。
『彰、人・・・・』
「はい、何でしょうか」
そう言って彼女の方を見るが、まだ儚は眠っている。
「寝言、か・・・・」
少し嬉しそうな表情をして、そっ と少し赤くなっている、彼女の目元に触れる。
( あのね、彰人っ )
一度は、俺を受け止めてくれたのに。
( 彰人には関係のないことだよ )
また 遠ざかっていってしまう。
「儚」
どうして、その心に留まっている思いを、教えてくれないんだ。
俺は 君の全てを、知りたいのに。