きっと世界は君のもの


―コンコン、


花瓶を手にした彼は、中からの反応がない事に 首を傾げ、扉を開ける。


「儚さま、?」


ベッドに目をやれば、 スヤスヤと彼女は眠っている。

そんな彼女を見つめ、彼は少し頬笑み 花を花瓶に移し替えた。



『彰、人・・・・』


「はい、何でしょうか」


そう言って彼女の方を見るが、まだ儚は眠っている。


「寝言、か・・・・」


少し嬉しそうな表情をして、そっ と少し赤くなっている、彼女の目元に触れる。


( あのね、彰人っ )


一度は、俺を受け止めてくれたのに。


( 彰人には関係のないことだよ )


また 遠ざかっていってしまう。


「儚」


どうして、その心に留まっている思いを、教えてくれないんだ。

俺は 君の全てを、知りたいのに。



< 47 / 59 >

この作品をシェア

pagetop