きっと世界は君のもの





「儚、はやくいらっしゃい」

その声は少し怒っているものだった。

『いや』

そう言って、彼女はなかなか車から降りようとしない。


「相手方を待たせてはいけないのよ」

儚の母である彼女は困った表情をする。


「お見合いなんてしないってば」


それでも儚は車から降りようとはしない。



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