きっと世界は君のもの


「はぁ・・。 俺さ、柚を怒らせた」

『っ、』


「俺がミューとばっか遊んでるから、アイツ怒って帰ったし」

チリン、と鳴る鈴の音だけが響いて、部屋は静まり返る。


「俺、嫌われたかもな。 はは、自業自得だな」

そう言っては自分を嘲笑う悲しげな彼を、はじめてみた。


(大丈夫だよ、きっと)

「はは、ミュー、なぐさめてくれてんの? ありがとな」

(どういたしまして)

なでなでされ、嬉しそうなミューの言葉を聞きながら、ただ茫然と彼を見上げた。


『ねぇ、あたし、嫌ってないよ』

逆に大好きなんだけど


「ん?お前も、なぐさめてくれんの?」

切ない笑顔で、彼はありがとう、と頭をなでる。

違う、違うよ。
好きっていってんの。

鳴き声じゃなくて、言葉、届いてよ!

やっぱり、ずっと猫がいいなんて思うのやめる。
人に戻って、ちゃんと好きって言いたいの!



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