きっと世界は君のもの




『ん・・・』

あぁ、瞼が重いし、頭はボーっとする。

『あれ、あたし・・手がある』

猫から、人に戻れた?

ぼやけながらも確かに見えたのは自分の手、そして蹲っている自分の真横で、ミューが気持ちよさそうに眠っている。


青空だった空が、今ではオレンジに染められている。

『好きって、言わなきゃ・・・!』

慌てて起き上がるが、部屋を見渡してもさっきまで居た彼はどこにもいない。


そしてようやく頭が覚めてきて気付く、 さっきのは夢なのだと。

『は、なんだ。 あたし、ただ寝ちゃってただけで・・』

ボフッと枕に顔を埋める。


夢の中ではあたしが人に戻り、嫌っていないと伝えてればハッピーエンド。
でも現実は、ハッピーエンドじゃなさそう。

彼の気持ちは、わからない。
こんなネコに嫉妬してキレるような女、うざったいだろうしね。


『もう、終わりかな』

あたし、ちゃんと諦めきれるかな。


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