放課後の恋
怖いっ!

美月は更に力を入れてグッと拳を握り体を強ばらせた。

美月の背後に立った谷川は上からかぶさるように美月を抱き締めた。

「ひっ…!」

恐怖が最高潮に達していた美月は思わず悲鳴を上げた。

「お前なぁ…。そんな声出すな」

さっきの詰問調の固い声とは違い耳元で響く優しい声音に美月は肩の力を抜いた。

「瀬尾?」

「だって…せんせが怒ってるって…言った…から…」

しゃくり上げながら言う美月の肩に顎を乗せた谷川は左手で美月の頭を抱き寄せた。

「せんせ…?」

「あー!もーだめだ!」

涙を拭って僅かに首を動かし谷川を見ようとする美月の頬に谷川の唇が触れた。
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