月に願いを
乱れた敵を切り伏せていた清鷹の前に、一騎の騎馬が踊り出た。

「少数で陣を乱すとは大したものよ。我は羽鳥の将、白木茂之。そなたの名を聞いておこうか」

血糊に染まった刀を一振りし清鷹は名乗った。

「我は東雲の将、大塚清鷹」

ふてぶてしく笑った白木は清鷹に向かい馬を走らせた。

清鷹も馬を駆る。

最初の斬撃をお互いに躱し、すぐ馬を返す。

何合か撃ち合うがお互いに決定打を打ち込めず、焦れた白木の動きが大きくなった。

清鷹はその隙を見逃さず素早く刀を急所に叩き込んだ。

手綱から手が離れ墜ちていった白木を馬上から見下ろす。

自軍の将が討ち取られたのを目の当たりにした羽鳥の兵達は先を争うようにしてその場から逃げ去った。
< 14 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop