月に願いを
「…母上。戦に出陣した将達もご無事で?」 

結姫にすれば清鷹が無事かと訊ねたいところだったが、清鷹の名だけを口にするのは憚られた。

結姫の問いに、微笑んでいた奥方は眉をひそめ扇で口元を隠した。

「母上…?」

奇妙な不安にかられ心臓が痛くなる。

「戦である限り犠牲がないとは言えません。幾人かの将が討たれたとも聞いております」

結姫の背中を冷たい汗が流れ、指先が震える。

「討たれた将の亡骸は既に埋葬され遺品は返されているとの事。それと…」

「それと……?」

この先を聞くのが怖い。






「清鷹が行方知れずと…」
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