月に願いを
嘘に決まってる。

必ず戻ると約束したもの…。

結姫は夜具を頭まで被りきつく目を閉じた。






清鷹が行方知れずとの知らせを受けて以来、結姫は床にこそ臥せてはいなかったが半病人のようだった。

まるで清鷹が消えたように自分も消えてしまいたいと言わんばかりに。

奥方が見舞いに訪れた時だけは心配をかけぬようにと、差し入れられた菓子を摘む程度でほとんど食べ物を口にしなかった。

痩せてゆく娘を見て奥方は城に戻ってきた君主と何やら相談し、ある日結姫を君主の部屋に呼び出した。

「父上。この度の勝利おめでとうございます。ご挨拶が遅れ申し訳ございません」

棒読みのように抑揚も感情もない結姫の言葉に君主は痛ましい表情を浮かべ奥方と視線を合わせた。

「結は…具合がよくないと聞いたが?」

「ご心配には及びません。季節の変わり目だからでございましょう」

この状態の結姫に話を続けていいものか君主はしばし悩んだが思い切って話を切り出した。

「結。そなたの輿入れが決まった」
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