月に願いを
羽鳥の兵に矢で射抜かれ意識を失った清鷹は一時本当に行方知れず扱いになっていた。

あの激戦で討たれたのかと将達が諦めかけた時、兵が数人がかりで清鷹を連れ帰ってきた。

矢は背中から心臓の近くに達しており、体力もほとんどなくなっていた清鷹は幾日も生死の境を彷徨った。

ようやく意識を取り戻してもまだまだ予断を許さない容体でもあり、結姫に清鷹が無事であるとはとても言えない状態であった。

その間、東雲に惨敗した羽鳥は和睦を申し入れ、この羽鳥城を明け渡し、双葉も東雲が戦わなければ滅んでいたと、双葉の者達を召し抱えてくれれば城を譲ると言ってきた。

そこで東雲の君主は今回の戦の報奨も兼ねて、双葉と羽鳥をそれぞれ重臣に委ねる事とした。
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