月に願いを
「どうせ私はのんきでじゃじゃ馬な姫じゃ。こんな姫では輿入れ先もなかろう」

そう言いつつも他国の若殿の元に輿入れするなど微塵も想像していない。

「そう言うな。そのうち物好きなどこぞの若殿がもらってくれるかもしれん」

そう笑う清鷹に自分の気持ちは伝わっていないのかと結姫は胸が締め付けられるようだった。

「……清鷹がもらってくれればよかろう…」

どうせまた笑って躱されるだろうとはわかっていても言わずにいれなかった。
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