月に願いを
「俺が一国の主なら貰い手のない結姫を貰ってやるがな」
それが叶うならな…と自嘲気味な笑顔を浮かべた清鷹の内心を知るはずもない結姫は予想通り躱されてしまった事に心の中でため息をついた。
「清鷹が君主になるのを待っていたら私が白髪頭になってしまうわ」
せめて憎まれ口でもきかないと気が晴れぬとばかりにツンケンした態度の結姫に、慣れっこなのか清鷹は怒りもせずに苦笑している。
自分ばかりがムキになってるのも馬鹿馬鹿しいと思ったのか、それともせっかくの清鷹との外出を無為に過ごしたくないと思ったのか結姫も清鷹を見て少し微笑んだ。
「清鷹」
城下を見下ろしながら話しかけた結姫に視線を送る。
「私はこの国が好きだ。出来ればこのまま平安に過ごしたいと思っているがそれは叶わぬ事か?」
清鷹の眉が曇った。
それは清鷹本人も同じように思っている事だったが、それが叶わないのも十分に知っていた。
「羽鳥が双葉に進攻している旨、殿に報告した。もし双葉が落ちればこの東雲に進軍して来よう」
戦局がそこまで身近に迫っていようとは思ってもいなかった結姫は息を飲んだ。
それが叶うならな…と自嘲気味な笑顔を浮かべた清鷹の内心を知るはずもない結姫は予想通り躱されてしまった事に心の中でため息をついた。
「清鷹が君主になるのを待っていたら私が白髪頭になってしまうわ」
せめて憎まれ口でもきかないと気が晴れぬとばかりにツンケンした態度の結姫に、慣れっこなのか清鷹は怒りもせずに苦笑している。
自分ばかりがムキになってるのも馬鹿馬鹿しいと思ったのか、それともせっかくの清鷹との外出を無為に過ごしたくないと思ったのか結姫も清鷹を見て少し微笑んだ。
「清鷹」
城下を見下ろしながら話しかけた結姫に視線を送る。
「私はこの国が好きだ。出来ればこのまま平安に過ごしたいと思っているがそれは叶わぬ事か?」
清鷹の眉が曇った。
それは清鷹本人も同じように思っている事だったが、それが叶わないのも十分に知っていた。
「羽鳥が双葉に進攻している旨、殿に報告した。もし双葉が落ちればこの東雲に進軍して来よう」
戦局がそこまで身近に迫っていようとは思ってもいなかった結姫は息を飲んだ。