cure
授業が終わるとすぐに春日は俺のとこに来た。

俺の横でニコニコ顔で待ってる春日。
それを見た周りのヤツらが冷やかすから変な汗かいちまった。

お前らが言うより俺が一番驚いてんだからな!






帰るのはいいけど何を話していいやら見当もつかず黙ったまま俺達は歩いた。

気まずい思いを抱えたまま、並んで歩く春日をそっと窺うと、俺の気持ちを知ってか知らずか口元に笑みを浮かべている。

「小川くんと帰れるなんて夢みたいだな」

沈黙を破って突然春日がそんな事を言うもんだから妙に慌てて思わず俯いてしまった。

「春日は大げさだよ」

夢って、俺こそこの状況が夢みたいだよ…。

「ねぇ、理乃の事、名前で呼んでよ」

……名前で呼んで?

「ええぇー!?」

春日の思考は予測不可能!
そんなカレカノみたいな…って一応そうなるのか!?

いや、でも何か違う気がするっ!

俺が内心パニクってるのに気付いていない春日はさらにたたみかけるように言う。

「だって、呼んでほしいんだもん。理乃も小川くんの事名前で呼びたいし」

「いやっ、それは…恥ずかしいだろ…」
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