cure
ハッキリ言って俺は女の子と下の名前で呼び合うようなキャラじゃない。
実際今までもそういうのをした事がない。
それをいきなり、しかも春日だなんて無理だしっ!

「何で…?」

甘える子犬ような上目遣いで聞く春日。

でも俺にも心の準備ってもんがあるんだよ。

「そんな目で見てもだめ」

ちょっと冷たく言い放つと一瞬シュンとうなだれたけど、すぐに

「だめなのぉ…?」

綿菓子のような甘い甘い声でねだられて理性が飛びそうになる。

「だめ…?」

これがホントのダメ押しってやつ。
俺が春日に適うはずない。

「俺の事、何て呼ぶつもり?」

とりあえず自分が何て呼ばれるのかは知りたい。

「あっくん」

ううっ!
親にもそんな風に呼ばれた事ないし。
恥ずかしげもなく、かえって嬉しそうに言う春日に驚愕した。
思わず手の平でおでこを抑える。




「…わかったよ」

最初から春日に適うなんて思ってない。
それでも抵抗してみたけどアッサリ玉砕。

そんな俺を春日は満足そうに見た。

「絶対だからね。約束だよ」

春日が差し出した小指に指を絡ませた俺は全面的に降伏だった。
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