cure
「俺の彼女に何か用?」

俺は今、春日を守らなきゃいけない。

喧嘩には多少自信があるけど後ろに春日もいるしなるべく穏便に済ませたい。

俺の言葉に男は舌打ちし、去り際に捨て台詞を吐いた。

「月とスッポンだな」

そんな事言われなくてもこっちは十分わかってんだよ!

わざわざ人の悩みを混ぜ返しやがって!


「ごめんね、あっくん。理乃、ちょっと早く着いちゃって…。そしたらこんな事になって…」

春日の申し訳なさそうな声に慌てて返事をした。

「えっ?ああ…気にすんなよ」

少し微笑んだ春日に声をかけた。

「行こうか」

不愉快なこの場から早く立ち去りたかった。






日曜のショッピングセンターってどうしてこうも人が多いのか。

時々振り向いて春日が付いてきてるか確認していたけど、人にもみくちゃにされてる春日が可哀相で思い切って言ってみた。

「手…繋ぐ?嫌じゃなければだけど…」

「繋ぐっ!」

飛び付くように俺の手を握る。

素直に感情を表現する春日。
春日に対する気持ちを自覚しつつ何も出来ない俺。

どうしたらいい?
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