cure

・勇気

そう聞きたい気持ちになって口を開こうとしたけど結局言えなかった。

「あっくん。……理乃に何か言いたいなら言って?」

春日に言いたい事…。


「春日…。もう止めよう」

春日の気持ちも、自分の気持ちも信じられずにいる俺。

『月とスッポン』

それで上手くいくはずなんてない。

「俺、春日に全然似合ってない。俺と春日なんて…変だろ?」

そう、春日にはもっと似合うヤツがいる。
『月と星』ぐらいにさ。

「理乃は…そんなの考えた事ないよ…。ただ、あっくんが好きで…一緒にいたくて…それがあっくんにはだめな事なの…?」

震えた声の春日になぜか苛立った。

「…春日は俺のどこがいいんだ!?春日は俺を好きって言うけど…俺にはわかんないよ…」

八つ当たりなのはわかってる。

春日の気持ちを受け止められないのは俺が自分に自信がないから…。

俺ってサイテーだ。

「理乃は…あっくんの笑顔を見た時、胸がキュンってなって…好きなんだって…。今はあっくんの事何にも知らないけど…もっと好きになるって思ってる」

それなのに春日は俺の目をしっかり見て答えてくれた。
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