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「ねぇ、理乃の事、名前で呼んでよ」

「ええぇー!?」

そんなすっとんきょうな声出さなくても…。

「だって、呼んでほしいんだもん。理乃も小川くんの事名前で呼びたいし」

「いやっ、それは…恥ずかしいだろ…」

「何で…?」

理乃の必殺上目遣い。
ちょっと目をウルウルさせるのがコツ。

「そんな目で見てもだめ」

そんなぁ!
理乃の上目遣いが効かないなんて初めてだよぉ。

なかなか手強い。

でもそんな男らしいとこもますます好きになっちゃう。

「だめなのぉ…?」

プラス甘えた声だ!

あっ、少し狼狽えた。
もう一押し!

「だめ…?」

「俺の事、何て呼ぶつもり?」

それはもう決めてあるの。

「あっくん」

理乃の言葉にううっと唸って手の平でおでこを抑えてる。

しばしの沈黙の後。



「…わかったよ」

んふっ。
理乃の勝ち!

「絶対だからね。約束だよ」

差し出した理乃の小指にあっくんは小指を絡ませた。
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