cure
口数が少なくなった理乃にあっくんが訊く。

「理乃、怖いの?」

「えっ…ううん、違うよ。海の向こうまで見渡せるんだね」

「うん…?」

不思議そうなあっくん。

いつもと変わらないあっくんに、やっぱここは理乃からいかなきゃ!と気合いを入れる。

「もうすぐテッペンだ」

そう理乃に言って窓の外を指さしたあっくんにつられて理乃も外に視線を向けた。

陽が落ちかけて薄暗い空に太陽の赤みと海の青さ、それが反射してるように染まる雲と灯りが灯り始めたビル。

夜景ほどキラキラしてないけど、ほんのりとした温かさがあって見惚れてしまった。

「理乃」
< 44 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop