月と太陽の事件簿12/新幹線殺人事件 静岡‐掛川間49・1キロの謎
「本来はどちらへ行かれるつもりだったんですか?」
警部の質問に、達郎は名古屋ですと答えた。
「ええ。長い間、外国に行ってまして、日本へは今朝着いたんですが、帰宅前に寄り道しようと思いまして」
「寄り道?名古屋に何があるんですか」
「名古屋から関西線に乗り換えて伊勢に行こうと思ってたんです」
「伊勢というと、三重県の?」
「はい」
駅長室の隅にキャリーバッグが置かれていたが、達郎のものだろう。
「帰国早々に伊勢に何の用で?」
岸警部の声に緊張が混じる。
それはあたしにも伝わった。
ところが達郎は
「赤福(あかふく)です」
と、場違いな名前を出した。
「伊勢名物の赤福を買いに行こうと思ってたんです」
「赤福、ですか?」
岸警部の頭には、餅をたっぷりのこしあんで包んだ、地方名物が頭に浮かんだはず。
「はい。なんか赤福を食いたくなって。それで名古屋に向かったんです」
達郎はさらりと言ってのけた。
警部の質問に、達郎は名古屋ですと答えた。
「ええ。長い間、外国に行ってまして、日本へは今朝着いたんですが、帰宅前に寄り道しようと思いまして」
「寄り道?名古屋に何があるんですか」
「名古屋から関西線に乗り換えて伊勢に行こうと思ってたんです」
「伊勢というと、三重県の?」
「はい」
駅長室の隅にキャリーバッグが置かれていたが、達郎のものだろう。
「帰国早々に伊勢に何の用で?」
岸警部の声に緊張が混じる。
それはあたしにも伝わった。
ところが達郎は
「赤福(あかふく)です」
と、場違いな名前を出した。
「伊勢名物の赤福を買いに行こうと思ってたんです」
「赤福、ですか?」
岸警部の頭には、餅をたっぷりのこしあんで包んだ、地方名物が頭に浮かんだはず。
「はい。なんか赤福を食いたくなって。それで名古屋に向かったんです」
達郎はさらりと言ってのけた。