月と太陽の事件簿12/新幹線殺人事件 静岡‐掛川間49・1キロの謎
「日野…」
岸警部が口を半開きにしてあたしを見た。
警部の気持ちはよく分かる。
海外から帰国したその日に、その足で地方名物を買いに行く人間は、多分いない。
でも達郎はそういうヤツなのである。
家族に会うよりも、こしあんたっぷりの伊勢名物を優先する男。
大の甘党でマイペース。
まったく、留学前から中身はまったく変わっちゃいない。
もしかして達郎自身が事件に関与しているのではなどと考えたあたしがバカだった。
「ま、まぁそういう事もあるでしょうな」
あたしの表情を見た岸警部は、懐からハンカチを取り出すと、額に浮かんでいた汗をふいた。
場をとりつくろうのに必死なのはよくわかるが、「そういう事」は絶対ないとあたしは思う。
「あの、よろしいですか?」
そこへ助け船を出すかのように入って来たのは県警の本部長。
「なにか?」
警部の表情が引き締まった。
「田村清の殺害現場から見つかったナイフの件ですが」
岸警部が口を半開きにしてあたしを見た。
警部の気持ちはよく分かる。
海外から帰国したその日に、その足で地方名物を買いに行く人間は、多分いない。
でも達郎はそういうヤツなのである。
家族に会うよりも、こしあんたっぷりの伊勢名物を優先する男。
大の甘党でマイペース。
まったく、留学前から中身はまったく変わっちゃいない。
もしかして達郎自身が事件に関与しているのではなどと考えたあたしがバカだった。
「ま、まぁそういう事もあるでしょうな」
あたしの表情を見た岸警部は、懐からハンカチを取り出すと、額に浮かんでいた汗をふいた。
場をとりつくろうのに必死なのはよくわかるが、「そういう事」は絶対ないとあたしは思う。
「あの、よろしいですか?」
そこへ助け船を出すかのように入って来たのは県警の本部長。
「なにか?」
警部の表情が引き締まった。
「田村清の殺害現場から見つかったナイフの件ですが」