月と太陽の事件簿12/新幹線殺人事件 静岡‐掛川間49・1キロの謎
刑事部長はちらりと達郎を見た。
警察関係者の身内とはいえ、民間人である達郎に、捜査情報を聞かせてよいものか、と思ったのだろう。
「構いません。続けてください」
岸警部はそう促した。
「では…田村清の殺害現場から見つかったナイフの件ですが、ナイフと田村の腹部の傷が一致しました」
田村殺害の凶器は現場に落ちていたナイフ。
傷と一致したことは重要な手掛かりだ。
ところが。
「ナイフは小林誠との傷とも一致しました」
「なんですって?」
あたしは思わず声をあげてしまった。
しかし刑事部長もあたしと同じ戸惑いを感じていたらしい。
「ナイフからは指紋が検出されましたが、それは田村のものでした」
刑事部長の口調には、不可解という色がにじんでいた。
「ナイフには、被害者の指紋のみですか」
達郎が、不意に口を開いた。
誰に聞かせるというわけでもない口調であったが、あたしたちは一斉に達郎の方を向いた。
警察関係者の身内とはいえ、民間人である達郎に、捜査情報を聞かせてよいものか、と思ったのだろう。
「構いません。続けてください」
岸警部はそう促した。
「では…田村清の殺害現場から見つかったナイフの件ですが、ナイフと田村の腹部の傷が一致しました」
田村殺害の凶器は現場に落ちていたナイフ。
傷と一致したことは重要な手掛かりだ。
ところが。
「ナイフは小林誠との傷とも一致しました」
「なんですって?」
あたしは思わず声をあげてしまった。
しかし刑事部長もあたしと同じ戸惑いを感じていたらしい。
「ナイフからは指紋が検出されましたが、それは田村のものでした」
刑事部長の口調には、不可解という色がにじんでいた。
「ナイフには、被害者の指紋のみですか」
達郎が、不意に口を開いた。
誰に聞かせるというわけでもない口調であったが、あたしたちは一斉に達郎の方を向いた。