月と太陽の事件簿12/新幹線殺人事件 静岡‐掛川間49・1キロの謎
ただ一月ほど前から、2人の関係に変化が生じた。

ささいな事で言い争いをしたり、共通の知人に互いの悪口を言うようになった。

「原因はなんだ」

「性格の不一致や鉄道グッズの奪い合い、バイト先にいる同じ女性を好きになったとか、色々な証言が出てきたわ」

「音楽性の違いとかは」

「バンド組んでたわけじゃないんだから」

真顔で何すっとぼけたこと言ってんだコイツは。

「もちろん冗談だ」

「まず時と場合を考えなさい」

達郎は両手を広げ、やれやれといった感じで首を振る。

なんなんだその外人キャラは。

面倒になったあたしはツッコむのをやめて話を進める事にした。

「ここ最近の2人は、顔を合わせるたびにケンカになってたみたい」

「一触即発、どちらにも相手を殺す動機はあったわけか」

あたしはうなずいた。

2人とも盗られたものは全く無し。

恨みを買ったり買われたりといった相手は、他には挙がっていない。

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