月と太陽の事件簿12/新幹線殺人事件 静岡‐掛川間49・1キロの謎
何よりも見つかったナイフの存在が大きい。

「事件当日の2人はなぜ新幹線に乗ってたんだ」

そう訊かれ、あたしは手帳に目を落とした。

「田村は掛川、小林は名古屋へ行くつもりだったそうよ」

「目的は」

「それぞれお目当ての鉄道イベントがあったの」

田村は掛川、小林は名古屋で行われるイベントに参加するつもりだったことが、聞き込みの結果わかっている。

「事件前後のそれぞれの足取りは?」

「事件前日に2人とも遅くまでバイト…ファミレスのホール係なんだけどね、午前3時まで働いたあと、帰宅したそうよ」

「えらく遅くまで働いてたんだな」

「仕事中も2人は翌日のイベントの事を気にしていたみたいで、寝過ごして電車の時間に乗り遅れないようにしないとと、上司や同僚に話してたそうよ」

そして当日、田村は東京駅から8時49分発の特急東海1号に乗った。

「特急だって?新幹線じゃないのか?」

達郎の疑問はもっともだった。

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